北海道は星空観察に適した土地だと言われます。
土地が広くて、視界を遮る光源になる建物が少ないからです。
また、梅雨がないために一年を通して湿度が低く、空気が澄んでいることも好条件です。
一番おすすめの季節は空気が乾燥する冬ですが、そこは最果ての北の大地。気温は1桁もしくは氷点下になりたいへん「しばれる(寒い)」場所ですので、装備を間違えると命の危険にもさらされかねません。
星空を見ようと北海道旅行を計画する人も、これは悩んでしまいますね。
そこで、ひとつの案として、温泉地での星空観測はどうでしょう。
北海道は温泉天国。道内の温泉地数は全国1位の251ヶ所、総湧出量も全国2位を誇っています。
いまだ活動している火山が18もあるので、豊富な湯量が望めるというわけなのです。
寒い季節でも、温泉地に宿を確保しておけば心も身体もあったか。
一石二鳥ですね。
ただ、温泉地といっても、有名な温泉街は実は星空観察には不向きだったりします。
ホテルや旅館が数多く隣接して、建物の人工光で星の光りが見えにくくなってしまうからです。
星が見える温泉地で穴場なのは、ぬかびら温泉郷でしょうか。
大雪山国立公園の森と、糠平湖に囲まれた立地のぬかびら温泉は、湯温が60℃の重曹泉・源泉掛け流しという贅沢な環境で、温泉ファンにも高く評価されています。
場所は北海道中心部の旭川より南東側、帯広からは北側に位置します。
バスでは旭川駅から約2時間30分、帯広駅からは約1時間30分程で到着します。
お車で行く場合は、国道273号上士幌町市街~上川町市街間(約110km)は、ガソリンスタンドがありませんのでご注意ください。
宿にチェックインしてひと息ついたら、夜は地元のNPOが行っている星空観察会に参加してみてはいかがでしょうか。
NPOひがし大雪自然ガイドセンター主催の「ぬかびらスターウォッチング」は、宿から少し離れた場所へビジターを案内し、季節の星座を眺めるアクティビティです。
たとえば春は北斗七星やしし座の一等星レグルスそばの土星を観察します。
夏は地面にシートを敷き、寝転んで天の川を観察します。
月の出ているときは、天体望遠鏡でクレーターなど眺めます。
糠平は緑の木々に覆われて空気の澄んだ場所なので、美しい星々や天体が迫るように輝いて見えますよ。
この観察会は、森の中を歩くので虫が出ることもあります。
参加する際は長袖・長ズボン着用が良いでしょう。