天文台

北海道は「星が綺麗に見える場所」として全国の天文ファンが訪れます。しかし、都市部での星空観察はやはり難しいものがあります。ネオンや家のあかりなどの人工光が多くて、かすかな星の瞬きを遮ってしまうからです。とはいえ、アクセスや宿泊施設の多さなどの利便性を考えると、都市部に近い場所で星を観察したいと思うのは自然なことでしょう。北海道旅行の際に、都市部や近郊で星空を望めるスポットを調べてみました。 札幌市は、北海道いちの都会とあって天文台やプラネタリウム施設が充実しています。肉眼で星を観ることは叶わなくても、望遠鏡でよりリアルな星の姿を見られるのは嬉しいですね。

●札幌市天文台 –

口径20cmの屈折式望遠鏡がある公開天文台です。昼の部(午前10時~正午、午後2時~午後4時)は望遠鏡で太陽の観察ができます。夜の部は毎月2回ほど、週末の20時~22時に季節の星座を観望できます。そのほか日食など天文現象に合わせて観望会を開いており、間近に天体を感じられる貴重な場所となっています。(雨天・曇天時は観望中止。室内で解説と質疑応答をします)
〒064-0931 北海道札幌市中央区中島公園1番17号 TEL:011-511-9624
※ 駐車場がないため地下鉄でのアクセスになります(地下鉄南北線 中島公園駅 3番出口徒歩5分)
http://www.ssc.slp.or.jp/planet/sapporo-obs

●札幌市青少年科学館 –

口径25cm屈折式望遠鏡、口径10cm屈折式望遠鏡を持つ公開天文台です。座席数200のプラネタリウムや宇宙空間シミュレーターなどもある大規模な施設ですが、現在は耐震改修工事で休館となっています(平成26年4月まで休館中)。リニューアルオープンの日が楽しみですね。
〒004-0051 北海道札幌市厚別区厚別中央1条5-2-20
http://www.ssc.slp.or.jp/

●サッポロスターライトドーム

光学機器を販売する有限会社が運営している、珍しいプラネタリウムです。アクセスもJR北海道函館本線手稲駅から徒歩5分と好立地。座席数150なので団体も余裕で入場できます。プラネタリウムホールでコンサートも可能になり、音楽とプラネタリウムのコラボレーションが楽しめます。

〒006-0022 北海道札幌市手稲区手稲本町2条4-1-11 http://www.ssdome.co.jp/

ぬかびら温泉郷その2

ぬかびらスターウォッチング
時間:20:30~21:30
集合場所:糠平館観光ホテル1Fロビー(20:25までに集合)
※申し込み不要(集合場所にお越しください)
参加費:大人1,000円 小学生500円 幼児無料
※曇天等、星が見えていないときは中止になります
http://www.netbeet.ne.jp/~shizen/star.html
問合せ先:NPOひがし大雪自然ガイドセンター
北海道河東郡上士幌町糠平北区44-3糠平温泉文化ホール内 
TEL:01564-4-2261 (8:00~20:00)

 

糠平湖を北方面へ更に山奥に走ると、知る人ぞ知る秘湯の幌加(ほろか)温泉があります。

ここで1軒だけ経営している鹿の谷旅館は、内湯の3つの浴槽がナトリウム泉・鉄泉・カルシウム泉、外の露天風呂は硫黄泉、と4つの泉質が源泉掛け流しで沸いている贅沢な温泉です。

混浴ですが、ひなびた小さな旅館の旅情に浸るのもいいですね。

ここは奥地なのでバスはなく、車でしか行けない場所ですが、人家も少なく、完全に大雪山の懐の中に入っているので糠平より綺麗な星空が望めます。

行程に余裕があれば是非訪れてみてください。

 

幌加温泉 湯元 鹿の谷旅館
北海道河東郡上士幌町字幌加番外地
TEL:01564-4-2163
営業時間:8:00~20:00日帰り入浴可

ぬかびら温泉郷その1

北海道は星空観察に適した土地だと言われます。

土地が広くて、視界を遮る光源になる建物が少ないからです。

また、梅雨がないために一年を通して湿度が低く、空気が澄んでいることも好条件です。

一番おすすめの季節は空気が乾燥する冬ですが、そこは最果ての北の大地。気温は1桁もしくは氷点下になりたいへん「しばれる(寒い)」場所ですので、装備を間違えると命の危険にもさらされかねません。

星空を見ようと北海道旅行を計画する人も、これは悩んでしまいますね。

 

そこで、ひとつの案として、温泉地での星空観測はどうでしょう。

北海道は温泉天国。道内の温泉地数は全国1位の251ヶ所、総湧出量も全国2位を誇っています。

いまだ活動している火山が18もあるので、豊富な湯量が望めるというわけなのです。

寒い季節でも、温泉地に宿を確保しておけば心も身体もあったか。

一石二鳥ですね。

ただ、温泉地といっても、有名な温泉街は実は星空観察には不向きだったりします。

ホテルや旅館が数多く隣接して、建物の人工光で星の光りが見えにくくなってしまうからです。

星が見える温泉地で穴場なのは、ぬかびら温泉郷でしょうか。

大雪山国立公園の森と、糠平湖に囲まれた立地のぬかびら温泉は、湯温が60℃の重曹泉・源泉掛け流しという贅沢な環境で、温泉ファンにも高く評価されています。

場所は北海道中心部の旭川より南東側、帯広からは北側に位置します。

バスでは旭川駅から約2時間30分、帯広駅からは約1時間30分程で到着します。

お車で行く場合は、国道273号上士幌町市街~上川町市街間(約110km)は、ガソリンスタンドがありませんのでご注意ください。

宿にチェックインしてひと息ついたら、夜は地元のNPOが行っている星空観察会に参加してみてはいかがでしょうか。

NPOひがし大雪自然ガイドセンター主催の「ぬかびらスターウォッチング」は、宿から少し離れた場所へビジターを案内し、季節の星座を眺めるアクティビティです。

たとえば春は北斗七星やしし座の一等星レグルスそばの土星を観察します。

夏は地面にシートを敷き、寝転んで天の川を観察します。

月の出ているときは、天体望遠鏡でクレーターなど眺めます。

糠平は緑の木々に覆われて空気の澄んだ場所なので、美しい星々や天体が迫るように輝いて見えますよ。

この観察会は、森の中を歩くので虫が出ることもあります。

参加する際は長袖・長ズボン着用が良いでしょう。

多和平(たわだいら)

多和平(たわだいら)は、北海道の東側、釧路の北東に位置する標茶町(しべちゃちょう)にある丘です。

標高は195.2mとそこまで高くないのですが、周囲は雌牛を放牧する育成牧場で、広大な敷地が広がっています。

夏期は3000頭、冬期は1800頭の乳牛を飼育出来るほどで、日本一の広さの町営牧場となっています。

 

このような好立地の多和平は、視界をさえぎる建物もなく「地平線の見える大牧場」として人気です。

丘の上の展望台に登ると、そこは360°のパノラマの世界。

見渡す限り草原の丘陵が広がり、のんびりと草を食む牛や羊たちが点在しています。

雄阿寒岳・雌阿寒岳・斜里岳・西別岳などの山々が雄大に鎮座し、地平線を境にして上空は青い空と白い雲。開放感いっぱいの眺望に抱かれます。

展望台近くにはレストハウスがあり、ログハウス風に造られた店内では焼きたてパンや標茶牛のシチュー・ハンバーグ、ラム肉のバーベキューなどのメニューが並びます。

デザートには牧場ならではのドリンクヨーグルトやソフトクリームもあります。

開放的なデッキで食べればなお一層味わいが増しそうですね。

ただし、営業期間は4月~11月で、冬季はお休みとなっています。

 

レストハウス グリーンヒル多和
北海道川上郡標茶町上多和 TEL 015-486-2806
営業期間:4月~11月

多和平は、昼間の緑のパノラマが有名ですが、眺望の醍醐味はやはり夜です。

周囲にあるのは広大な牧場とそこに通じる道路のみ。もちろん街灯もありません。

最果てまで続きそうな地平線に夕日が沈むと、そこはしんとした闇の空間へと変わります。空には幾多の星が瞬きはじめ、頭上が星で満たされます。

まるで星空の毛布をかけられるかのように、間近に星の輝きが感じられる絶景ポイントです。

気候の良い夏場には、この星空をひと目見ようと車で訪れる家族連れも多くいるそうですが、意外に夏は霧が発生しやすく、晴れないこともしばしばあるとか。

おすすめは涼しくなり始めた秋だそうですよ。

 

レストハウスの近くにはキャンプ場がありますので、野営をして星を待つキャンパーの姿も見られます。

ここは北海道旅行でツーリングするライダーにも人気のキャンプ場です。

宿泊料金(大人360円  小人210円)をレストハウスに支払いキャンプ手続きをすると、番号札を渡されます。

その札をテントに掛けておき、帰る時に返却するという方式です。

丘陵地で緩やかな傾斜になっているのでテントを張るのに少々苦労しますが、外へ出れば一面の星が降り注ぐような絶景に出会えるのは、キャンパーの特権といえるでしょう。

 

●多和平キャンプ場
営業期間:5/1〜10/31(期間中無休)
営業時間:10:00〜17:00(管理人常駐時間)
駐車場 50台(無料)

陸別

道東の摩周湖・屈斜路湖の西にある陸別町は、天文ファンにも人気の星空スポットです。

北海道の内陸部にあり周辺が小高い山に囲まれているため、冬期間には厳しい寒さとなり、-30℃を記録する「日本で一番寒いまち」と言われています。

その分空気が澄んでおり、町の面積の8割が森林という環境で人工光も少ないので、星空観察に最適な環境なのです。

 

星がよく見えるよう町を挙げての「ライトダウン運動(人工光を消す運動)」も盛んで、昭和62年度に環境庁(現:環境省)より「星空の街」に選定され、平成9年度には「星空にやさしい街10選」に認定されました。

「星空にやさしい街10選」認定を記念して、町は「りくべつ宇宙地球科学館(愛称:銀河の森天文台)」を建設しました。

 

ここには日本最大級の115cm 反射望遠鏡「りくり」をはじめ、30cm クラスの小型望遠鏡4基、4連太陽望遠鏡等が備えられています。

一般の人も、大型望遠鏡「りくり」で惑星や月、更に遥か彼方の星雲や星団、銀河などさまざまな天体を見ることが出来る、貴重な天文台です。

1階の展示室は、銀河の森、オーロラ、宇宙の美しいパネル展示、宇宙探検コンピューターや70インチ大型モニターによる宇宙の体験学習などができるようになっています。

2階は大型望遠鏡ドーム、小型望遠鏡観測室、屋上から星空を楽しめる広場となっています。

2階の総合観測室には、名古屋大学太陽地球環境研究所の「陸別観測所」と国立環境研究所の「陸別成層圏総合観測室」が併設されており、主に成層圏・対流圏の大気やオーロラ等の研究を行っています。研究者にとって陸別は重要な観測拠点なのです。

陸別は、日本では珍しいオーロラの観測にも成功しています。

平成25年は、太陽活動が活発になる11年周期と重なることもあり、陸別でオーロラが観られると期待が高まっています。

 

銀河の森天文台
住所:北海道足寄郡陸別町宇遠別
TEL:0156-27-8100
開館:4月1日~9月30日 14:00~22:30/10月1日~3月31日 13:00~21:30
休館:月曜・火曜日、年末年始
5月第3週月曜日~第4週金曜日は望遠鏡メンテナンスのため休館。
また、5月3~5日、8月14~16日は開館
駐車場あり
http://w w w .rikubetsu.jp/tenm on/

天文台の近くには、ログハウスの宿泊施設があります。

陸別産のカラマツ材で創られたコテージには、サウナ・お風呂・シャワー・寝具・調理器具・食器・LA Nを備えており、短期滞在にも最適な施設となっています。

北海道旅行の折りに、「星空の降り注ぐ別荘」として利用してみてはいかがでしょうか。

 

銀河の森コテージ村
住所:北海道足寄郡陸別町宇遠別
TEL:0156-27-4040 FA X:0156-27-4041
http://w w w .tow n.rikubetsu.hokkaido.jp/cottage/cottage.php

摩周湖

最近、どうも疲れているみたい。

うつむいて下ばかり見ているなーというアナタ。

ちょっと立ち止まって夜空を見上げてみましょう。

あなたのところからは星が見えますか?

 

都会では、街灯やネオンがまぶしくて星はなかなか見えませんが、日本には少し足を伸ばせば、満天の星空を満喫できるスポットがまだまだあります。

特に、雄大な自然が残る北海道には、美しい星空を堪能できるスポットが数多くあります。

北海道は「ぴあ星空が綺麗なスポットランキングベスト5」で4ヶ所もランキング入りするほどの“天然プラネタリウム”なのです。

人工照明に慣れた日常を離れて、満天の星に会いに、北海道旅行へ出かけてみませんか。

 

摩周湖
北海道の東側、釧路の少し上にある摩周湖は、中標津空港から車で約45分、JR釧網線摩周駅からは車で約20分の場所にあります。

布施明の名曲「霧の摩周湖」でもおなじみで昼間の湖面が有名ですが、醍醐味はやはり夜。

 

摩周湖周辺は明るい建物がまったくなく、夜には音も光もない漆黒の闇となります。

空気も綺麗なので星の光りを遮るものがなく、“星が降ってくるような”近さを体験できるのです。

星が手でつかめるほどに大きく見え、遠近感が混乱するような感覚に陥ります。

ベストシーズンは夏季の7月上旬~10月下旬、冬季の12月下旬~2月下旬となっています。

夏は気温も快適ですので駐車場からの観察がおすすめです。摩周湖第一展望台駐車場は140台停められ、料金は410円です。(4月25日~11月下旬。左記以外は無料)

しかし、夏は霧が発生することも多く、晴天率は60%。星空をしっかり見たいなら冬の方が良いかもしれません。

冬は空気が乾燥しているのでより綺麗な星空が臨めるでしょう。

ただ氷点下の寒さなので、防寒対策はしっかりしておきましょう。

また、冬季は凍結のため、道路が閉鎖されたりしています(摩周湖第一展望台~川湯温泉間など)。

夏冬どちらが良いかは、気候や周辺環境も併せてじっくり検討してみるのが良さそうですね。

現地ではガイドが解説するツーリズム「摩周湖星紀行」も催行されています。

体験場所は摩周第一展望台、定員は2名~100名となっています。

JAXA認定の宇宙教育リーダーのガイドさんもおり、摩周湖や星の魅力を堪能できる体験プログラムです。

 

【実施期間】
A期間:5月22日~10月31日(出発時間:20:30)
B期間:11月1日~5月19日 (出発時間:19:30)

【所要時間】約90分 

【料金】
大人(中学生以上)2000円 小人(小学生)1000円
幼児無料(座席はご利用になれません。)
【問合せ先】ツーリズムてしかが/015-483-2101